固有の世界
小沢美智恵
どんなことを、どんなふうに書いてもいい小説世界は、無限の広がりを持っている。が、一人の書き手は、その中のほんの一部、その人固有の世界だけを書けばいいのです。
受講生の貴方が私の書かない世界を書いてくれる以上、私は新鮮な驚きや感動をもってその作品を読むでしょう。
主題、技術ともに、あなたにしか書けない世界を現出させること、そのお手伝いができたらと思っています。
表現とは、関係性をかたちづくるもの
久保隆
自分自身が自分以外の他者へ言葉で何かを伝えたいと思う瞬間から表現というものは始まっているのです。だから関係性をかたちづくるものが表現であるとわたしは考えています。書き手が自分以外の他者を読み手として想起した時、例え読み手が一人であろうと多数であろうと表現したいことは不変であるべきです。ただ伝えたいという思いだけが切実なのです。
書きたい意欲をポーンと後押し
浜江順子
小説も詩もエッセイも楽しく書きたいとい
うのはあるのですが、書くことはベストな表
現を見つけるためのいわば戦いといってもい
いでしょう。そんな時、腑に落ちる適切なア
ドバイスをポーンと肩越しに投げかける、そ
んな通信講座になれたらと願っています。
「そうか!」と頷ける作品に添ったコメント
をお届けできればと思います。そこでは全体
の構成へのアドバイスだけでなく、一行、一
行、細部まで丁寧に見詰めたいと思います。
心の闇の部分をそっと覗いてみませんか
早川純
文学は俯瞰できない人間の内面をとらえて表現する、唯一のジャンルです。
心の中のものを文字に表す文学作品や、肉声を通して語る民話は、表現方法の違いはありますが、長い年月の間に濾過されたものは人の心を動かします。
さあ、これから、ご自分の心の闇の部分をそっと覗いてみませんか。
新しい発見があるかもしれません。
明るく覚悟を決めて
森美樹
挨拶文を書くにあたって、私がなぜ小説家を志したのか思い出してみた。「これしかできない」というのが結論だが、そんな謙虚なことを言いつつ、小説家になれたおかげで私は幾通りの人生を歩ませてもらっている。小説を書けば私は何者にでもなれるし、何事も成し遂げられる。「これしかできない」私は「なんでもできる」人間に、時として動物や植物にもなれた。
うまく書きたいと夢見るのは楽しい、うまく書こうとすると苦しい、小説に限らず創作とは得てしてそういうものだろう。未だに私は自分がうまいのかへたなのかわからない。ただ、これしかできないし、書いている間はなんでもできるので、書いている。だから皆さんも、明るく覚悟を決めて挑んでほしい。
あなたの作品創作を確かなものに
坂本良介
小説を書くことにおいて、心構えのようなものは、是非とも必要です。ざっくばらんに言ってしまうと、一生懸命に書くということですけれど、それだけでは身も蓋もありません。ストーリーだとか展開だとかが必要なのですけれど、それが必要だというのは、作者としての貴方の立ち位置みたいなものの何事かを現わし、存在を示すためなのです。このようなことは書きながらマスターしていくべきなのが創作の手順です。ですから一作、一作を大事に書き進め、あなたの作品創作を確かなものにしていきましょう。
――その上で、自分のジャンルのことも考慮するのです。
小説・評論・エッセイ・シナリオで一人一回のみ提出可能。枚数は四百字詰め原稿用紙50枚以内。
詩のみ5編まで可。 1回10,000円。
400字詰原稿用紙30枚以内を2~3ヵ月ごとに5回提出。
400字詰原稿用紙60枚以内を3ヵ月ごとに4回提出。
400字詰原稿用紙100枚以内を4ヵ月ごとに3回提出。
【実作指導】
通信教育はあくまでも実作指導が基本です。どんな作品であれ、作品が提出されないと指導ができませんので注意してください。テキストは4回送りますが、参考程度にしてください。
【作品の提出】
申込書を提出すると希望のジャンルやコースにあった、マン・ツー・マンで指導する講師を選定します。講師が決まり次第、必要書類とテキストをお送りします。申し込んでから2週間くらいかかります。
作品提出の締切や1回の提出枚数は前述の通りです。提出枚数の範囲内であれば、短い散文は2編以上、詩は5編まで提出してもかまいません。
提出作品は1部でけっこうですが、返送用の封筒(宛先を明記し、必要な切手を貼付したもの)を必ず同封して下さい。作品が郵便事情やなにかの手違いで紛失するといけないので、念のためコピーを取っておいて下さい。
【テキスト】
通信教育コースでは以下のようなテキストを配布します。参考にしてください。
・導入テキスト 最初の作品提出まで
(構想・執筆・提出の手順)
・構成のさまざま(菅原克己/須藤出穂)
・挿入=回想、説明について
(黒井千次/田所泉)
・ルポルタージュを書くことの意味
(鎌田慧)
・詩の鉛筆手帳(菅原克己)
・視点のおきどころと主人公の人称
・心理描写
・ミステリの書き方
・詩の作り方
・文学ひとり歩き(戦後文学の批評)
【添削指導】
まずどんどん書くことをお奨めします。自由に書いてもらい、実力に応じて指導します。提出された作品は丁寧に添削をし、講評や創作方法などにふれたコメントを付してお返しします。
講師に尋ねたいこと、疑問点、要望、なんでも結構ですから、対話用紙に書いてください。講師はそのひとつひとつに答えるとともに、それらを指導の参考にしていきます。
【通学コースの聴講】
通信教育コース在籍者は「文藝学校」の通学コースの講座にどこでも自由に参加できます。